たとえば、いびきによる睡眠障害や運動能力の伸び悩み、集中力の低下、口呼吸で風邪をひきやすいなど、さまざまな問題を引き起こす原因のひとつとして「歯ならび」が挙げられます。矯正治療により正しい噛み合わせを得ることで、それまでの悩みが解消されるかもしれません。
こどもの矯正
こども矯正の流れ
上顎に器具を装着し、1日おきにネジを回してスペースを広げます。これを2カ月ほど継続し、約7mm拡大します。後戻りを防ぐため、3カ月ほど器具を装着したままにします。
日中1時間と就寝時にマイオブレースを装着します。並行して1日数分間のアクティビティ(お口まわりの筋トレ)を手引きどおりに行い、呼吸・舌・飲み込みなどの正しい機能を獲得します。
1・2の過程におよそ2年かけて進めます。その後は永久歯が生えそろう12歳頃まで経過観察します。その頃の状況に応じて、2期治療(仕上げの矯正治療)を行う場合もあります。
「形態」と「機能」について
当院のこども矯正は2年間(24カ月)で完了するようプランニングしています。一般的には「形態の矯正」と「機能の矯正」を別々に行う場合がほとんどで、当院のようなハイブリッドスタイルはあまり多くありません。
まず上顎のスペースを確保することで無理なく機能矯正を進められる、理にかなった治療法です。
最初の半年間は、成長不足の小さな上顎を装置で広げ、歯が並ぶスペースを確保します。これが「形態の矯正」です。
その後、マイオブレースを用いた「機能の矯正」へ。乱れた歯ならびの原因は、口呼吸・舌の位置の低下・間違った飲み込み方の3つです。お口まわりの筋機能を獲得することで、それらの根本原因を解消し、きれいな歯ならびを長持ちさせます。
マイオブレースとは
「マイオ」は筋肉、「ブレース」は矯正装置を意味するとおり、お口まわりの筋機能を矯正するマウスピースに似た形の装置です。
口呼吸や下がった舌の位置など、歯ならびが悪くなる原因を改善します。取り外しでき、日中1時間と就寝時に着けるだけという手軽さも魅力です。
マウスピースは、ワイヤーやブラケットを使用せず、透明なマウスピース型の装置で歯を移動させる矯正法です。1日中装着し、1週間ごとに少しずつ形を調整しながら2〜3年継続します。
装着時間が長いことや機能面へのアプローチに乏しい点などが、マイオブレースと異なります。
世界100カ国以上に広まっているマイオブレース。日本でもこの治療法を行うクリニックが増えてきましたが、新潟での認知度はまだまだ低いのが現状です。当院は2023年7月現在で新潟県に3つしかないマイオブレース加盟医院です。
矯正と顔つきの関係性
歯ならびによってお顔つきも変わります。
機能を得て顎が正しく成長することにより、あいまいな顎のラインや、気を抜くと開いてしまいがちな口元の悩みが解消され、整った横顔とすてきな笑顔が手に入ります。
また食べ物をしっかり噛むことや鼻呼吸も身につき、全身の健康にもつながります。
及ぼす影響
「上顎前突(出っ歯)」は、口呼吸を伴う場合があるためむし歯のリスクも高まります。適切な1期治療により、口もとの膨らみやフェイスラインのたるみを解消し、美しい横顔をつくります。
「下顎前突(受け口)」は顎の動きが制限されるため、食べ物をうまく噛めなかったり、発音に影響が及ぶことも。下顎を正しい位置に戻して悩みを取り除き、すっきりとした顔貌を実現します。
矯正の重要性
上顎を広げる治療は、まだ骨の形を変えることのできる8歳くらいまでの期間に有効だといわれます。そこできれいな歯ならびの土台をつくれば、永久歯に生えかわっても新たな問題を抱えることはないでしょう。
お顔つきの変化も、大人の矯正ではなかなか手に入らないもの。矯正はこどもの明るい未来につながる大切な治療です。